画像調整したJPGデータをExcel・Word互換ソフトを使ってPDFへ変換

遺言公正証書の作成を公証役場の公証人に依頼すると、メールのやり取りの中で、必要書類を送る必要がある場合があります。

その必要書類の中には、遺言者と相続人との関係を示す戸籍謄本(原戸籍謄本や除籍謄本等)や、遺言執行人の氏名、年齢、現住所を示す資料などがあります。

この時に厄介なのが、電子化される前の古い手書きの戸籍謄本で、そのままスキャナーで画像データをとると、文字が判読し難くなるものがあります。


スキャンして文字が読み難くなる場合には画像調整

私の場合は、戸籍謄本などを添付ファイルで送る際は、複合プリンターのスキャナーを使ってスキャンしています。

データは、後から添付ファイルで送付可能なデータ(1MB以下)に落とす前提で、最初は少し高めの解像度(600dpiから1000dpi)、グレースケール、JPGの設定でスキャンします。

後から画像調整するために、PNGではなく、JPGでスキャンします。

謄本には偽造防止のため自治体の役所特有の透かしが入っていたり、古い原戸籍などでは全体が黒っぽく文字が読み取り難い画像データなります。

画像に中間色が多くなると、それだけでデータ量がさらに大きくなる傾向となります。

文字を読み取り易くすると同時に、データ量も小さくすることを目的として画像調整をします。

画像調整は、Photo Scapeなどのフリーソフトを使って、コントラスト100%及び、ガンマ輝度0.8を2回程繰り返して調整すると、中間色が整理されて全体が白っぽくなり、文字も目立って、くっきりと濃くすることが可能です。


PDFに変換してデータ量を小容量化

画像調整で、文字等の画像データは読み易くなるのですが、データ量はさほど小さくならず、大きいままなので,PDFに変換してデータ量を小さくします。

画像データのJPGをPDFへ変換する方法は幾つかあります。

オンライン上でPDF変換するサービスもありますが、登録を求められる煩わしさがあったり、オンライン上に一定時間スキャンデータが保持されることがあるのでプライバシー上の不安があります。

PDF変換用のフリーソフトを、PCにインストールして使用する方法もあります。

私は、かつてフリーソフトのpdf Factoryを多用していたことがありました。

以前は、変換したPDFデータには、何も広告のようなものは入りませんでしたが、最近では、変換PDFデータの最下端に「PDFは、pdfFactoryの試用版で作成されますpdffactory.com」という文言が入るようになり、これは有料版を購入しないと削除できません。

一番良いお勧めの方法は、Microsoft Excel、Word、等や互換ソフトを使って画像データをPDFへ変換する方法です。


Excel・Word互換ソフトを使ってJPG画像データをPDFへ変換

私はExcel、Wordの無料互換ソフトLibre Officeを使っています。

手順は下記の通りです。

1)Libre Officeの文書ドキュメントを利用して、画像調整したJPGデータを開きます。

2)次に、左上の「ファイル」をクリックし、「次の形式でエクスポート」へカーソルを移動すると、「PDFとしてエクスポート」と表示されるので、カーソルを動かしてクリックします。

3)「PDFオプション」が開き、「JPEG圧縮 画像品質」(=デフォルトで90%)、「画像の解像度を下げる」(=デフォルトで300DPI)の数値を調整することにより、データ容量を下げることができます。

4)数値を設定後、左下の「エクスポート」をクリックして実行します。

5)ファイル名を設定して「保存」をクリックすると、PDF変換データが、画像調整したJPGデータの保存されていたフォルダに保存されます。

この時の設定として、JPEG圧縮画像品質を70%、画質の解像度を300DOIに下げてPDF変換すると、メールの添付ファイルで送付可能なデータ容量(1MB以下)に調整することが出来ます。


解像度はどれくらいが良いか

一般的にスキャンで使われている解像度は200~400dpiです。

色数が少ない普通の文書であれば200dpiで十分です。

しかし、細かな文字や図表・写真などの書類は細部まで綺麗に表示する必要があるので、300dpi以上の設定をおすすめします。

200dpi以下の解像度であれば、データ容量の軽量化を図れます。

しかし、細かい文字や絵・図がガタガタとした表示になり、見難くなります。

最低でも200dpi以上にしておけば文字も写真・図も綺麗に表示や現物サイズでの印刷が可能です。

もとの画像データをそのままスキャンするなら300dpiで十分です。

300dpi以上の解像度に上げても、私たちには見分けられないからです。

300dpiもあれば、十分満足できる高画質に仕上がります。

写真の場合、最も普及しているサイズはL版と呼ばれるサイズです。

L版サイズで撮影した写真をデジタル化して、再度スキャンして同じL判サイズにする場合も、300dpiが適性となります。

その他にもHD規格のテレビ、一昔前まで主流だった機種やパソコンで画像データを見る場合も300dpiの解像度があれば十分満足できるはずです。

特別な手を加える必要がない、普通に画像データを見て楽しむのであれば、300dpiが基準になります。

解像度300dpiに最適な書類は、ビジネス文書です。

300dpiであれば比較的に小さな文字でも潰れにくいので、閲覧用やローカルプリントでの出力には最適です。

解像度400dpiに最適な書類は、契約書です。

契約書などはより読みやすさが重視されるので、300dpiよりもなめらかな画像で表示できる400dpiに設定しておくと安心です。

解像度600dpiに最適な書類は図面や絵画です。

図面や絵画は文章よりも精密さが求められるので、600dpiがベストです。

その分、データ容量は膨大となってしまうので読み取りに時間がかかりますが、拡大しても綺麗に表示できるメリットがあります。

特に絵画は色々な色を使うことが多いので、細かいニュアンスから原画のような風合いまで残せます。

スキャンした画像を綺麗に保存したい時は、TIFF(ティフ)形式がおすすめです。

TIFFとは画像データに使われる拡張子の一種で、高解像度の画像に適しています。

一般的にはJPEG形式が用いられています。

JPEGは画像から肉眼では捉えられない細かな色の違いをカットし、データ容量を小さくして保存する形式です。

一度、解像度を圧縮すると元の状態には戻せず、上書きを繰り返すたびに圧縮されて画像はさらに劣化してしまいます。

一方、TIFFはタグと呼ばれる識別子が付いた状態で保存されるので、JPEGのようにデータが圧縮されることはありません。

ただし、JPEGと比べてデータ容量は大きくなり、さらにウェブ用には適さない形式です。

WEB上で使う予定であればJPEG、もしくは透過やJPEGよりも劣化を抑えたい場合はPNG形式を選ぶようにします。