腕時計のOリング交換

今まで、腕時計の電池は自分で取り換えてきましたが、今回、裏蓋のOリングが延びて再使用不可となったので交換しないといけなくなり、交換方法や入手方法を調べてみました。

私の古いセイコーの時計の型式は、裏蓋を見ると、「7T92 OCWO」となっていました。


防水パッキンは細かい単位でサイズ違いの物が多数存在


腕時計、特に防水性能の高い物には、いくつかの場所にパッキンが取り付けられています。

パッキンは主に、時計の針を守るガラスケースの裏側、裏蓋、さらにはリューズ部分、プッシュボタンが装備されている場合にはその部分にも装着されています。


一般的には2~3年に一度のタイミングで、電池交換(クォーツ式時計)も含めてゴムパッキンの交換をするのが良いとされています。

パッキン無しで使い続けると、風防(ガラス)が曇るときがあります。

防水パッキンは非常に細かい単位でサイズ違いの物が多数存在します。

太さに関しては0.1ミリ単位で選ばなくてはなりません。

劣化したパッキンを計測するにしても当初の厚みやサイズから変化している可能性が高いです。

その為、どの寸法を買えばよいのか判別が難しいです。

複数のパッキンがセットになった物も売っていますが、何十本も電池交換をするのでなければほとんどが無駄になってしまいます。

パッキンの「厚み」と「サイズ(径)」を選ぶ必要があります。

少し小さい分には伸ばして使うこともできますが、大きすぎると裏蓋からはみ出るのでどうしようもありません。

また、厚みに関しては、細ければ防水性能が確保できない可能性もありますし、太ければ裏蓋が閉まりません。


丸パッキンと平パッキン

腕時計のガラスケースや裏蓋に用いられるパッキンには主に2種類の形状があります。

丸型のパッキンと平型のパッキンです。

ゴムの形状が丸いものが丸パッキン、少し角ばった平らな物を平パッキンと呼びます。

サイズを把握するためには、ケース・裏蓋の内径(内側)を測ります。

外径(蓋の外側)ではなく内径を測る理由は、内径を基準にしないとサイズが大きくて合わない場合があるからです。






「ノギス」を用いて内径をしっかりと確認し、サイズに合ったパッキンを選びます。

サイズはジャストまたは少し小さめを選びます。

内径よりも大きなサイズを選んでしまうのはNGです。

劣化したパッキンは緩んで一回り大きくなってしまっている事が多く、正しいサイズを計測できません。


Oリングパッキンの購入

Amazonや楽天などの大手ネットショップでも購入でき、価格は1,000円前後となっています。

適当なOリングが見つからない場合は、有限会社中村時計材料店の時計部品・時計工具(腕時計工具)等の販売サイト「Small Market」で、検索すると、時計の型式から、Oリングパッキン、リューズパッキン、プッシュボタンのパッキンが購入できます。

[純正]セイコー(SEIKO)7T92系の裏ぶたパッキン- 時計部品・時計工具(腕時計工具)等の販売サイト「Small Market」 (small-market.net)

[純正]セイコー(SEIKO)7T92系のリューズパッキン- 時計部品・時計工具(腕時計工具)等の販売サイト「Small Market」 (small-market.net)

[社外品]セイコー(SEIKO)用7T92系のボタンパッキン- 時計部品・時計工具(腕時計工具)等の販売サイト「Small Market」 (small-market.net)


シリコン塗布器

シリコン・グリーサーと書いてあります。サイズはφ50×H15mm



腕時計等の裏蓋用パッキン(Oリング)に防水用のシリコングリスを塗布するためだけの道具です。


プラスチックの容器の塗布器の蓋を開けると、中にはスポンジが貼ってあります。

左が容器本体、右が蓋


蓋を裏返すと、こちらにもスポンジが貼ってあります。

スポンジにはシリコングリスが塗ってあります。

蓋を閉めた状態(スポンジが当たって閉まり切ってない)

蓋を押すとスポンジの弾力で合わせ面が接触

スポンジの上にOリングパッキンを置いて蓋をします。

Oリングパッキンがスポンジで上下から挟まれた状態になります。



そのまま両手の平で持って蓋と底を逆方向に回転させます。

それによって、パッキンに、まんべんなくシリコンギリスが塗布されます。

あとはピンセット等でパッキンを取り出して時計にセットするだけです。

腕時計に入っていたパッキンは汚れています。

塗布器を二つ使って、古い塗布器で汚れを落としてから綺麗な塗布器でグリスを塗布すると、新しい方の塗布器スポンジの汚れを減らして長く使えます。

使っている間にスポンジ表面のシリコングリスは乾いてくるので、シリコンを塗ります。

補充用のグリスも売られていますが、使用頻度が低く、趣味で使うレベルなら、塗布器を1個買えば充分です。

塗布器を購入したときは最初からシリコンは塗布されていますので、一般の人が使う場合はシリコングリスのみ単体で購入する必要は無いです。


爪楊枝などを差し込んで見ても透明度が分かります

時計用のシリコングリスは、一般的な自転車や工作機械に使うグリスとは異なります。

腕時計に使うグリスは、かなり精製された成分となっていますので、蓋を開けても中身が無いように見えます。

シリコングリスは、粘度が低く、飴のような感じです。

小さいヘラですくって塗布器に塗ります。


また、裏蓋のパッキン塗布だけではなく
リューズにも塗布します

リューズには黒いパッキンがあり、これが乾燥して竜頭が回らなかったり、引き出せなくなる場合もあります。

リューズ操作で針を回すのが固く(重く)なっているのは、この竜頭パッキンが乾燥している為です。

爪楊枝などで竜頭パッキンにもシリコンを塗布します。

ほんの少し塗布すると滑りやすくなり軽くなります。

かといってこのグリスを歯車部分に付けると時計は動きません。これはグリスですから”粘り”がある為です。

リューズに油を塗っても同じではないかと思う方が居ても不思議ではありませんが、油では粘りが無い為に乾燥しやすいです。

また粘りが無いために多く付けてしまうと”流れます”。

流れて油が竜芯を辿ってムーブメントに入ると故障の原因になります。

時計用油はグリースから粘度の違う油を4~5種類使い分ける


交換手順

①新しいパッキンにグリスを塗る

②裏蓋の縁にパッキンはめる(場合によっては溝にゴムをはめる)

③裏蓋を閉める






















パッキンにシリコングリス塗布










パッキンにシリコン塗布をして裏蓋に戻し