電動パーキングブレーキ


 中古車インプレッサを購入して、1か月が経ちましたが、まだ車の操作に慣れていないこともあり、電動パーキングブレーキの解除を忘れて発進することが数度ありました。

以前のマイカーのマークⅡの時にも、購入時にフットブレーキの解除を忘れて発進することが何度かありましたが、車が変わっても同じようなことを繰り返している次第です。

電動パーキングブレーキについて、調べてみました。


電動パーキングブレーキ

電動式のパーキングブレーキは、シフトポジションと連動して作動する仕組みとなっているものが大半となっており、ギアを「D」に入れると自動的にパーキングブレーキが解除されるため、基本的にパーキングブレーキの解除忘れは起こらないと言われます。

インプレッサの電動パーキングブレーキがかかっている時には、次の場合アクセルペダルを踏み込むと電動パーキングブレーキが自動解除されるようです。
(※ただし、セレクトレバーがPもしくはNの状態では解除されません)

1)全てのドアが閉まっている。
2)運転席シートベルトを装着している
この2点の条件下で、電動パーキングブレーキが自動解除されます。

ということは、
電動パーキングブレーキの解除を忘れても、セレクトレバーがDとなっていて、上記の状態になっていれば、アクセルペダルを踏み込むと、電動パーキングブレーキが自動解除されていたはずです。

計器盤にも、ブレーキの状態が表示されるので、ブレーキが自動解除されれば、表示の変化が確認できた
はずでした。

システムの種類

当初はパーキングケーブルを電動モーターで巻き上げる方式でしたが、ブレーキ本体にモーターを装着する電動パーキングブレーキ(EPB)も増えています。

ディスク式とドラム式があります。

ケーブル巻き上げ方式、モーター付きディスクブレーキ(MOC)、モーター付きドラムブレーキの3種類があります。

油圧ブレーキシステムのP付ディスクブレーキの機械式パーキング機構に替えて、モーターを搭載したMOC(Motor On Cariper)が多く普及しています。


ブレーキドラムに電動パーキングブレーキ(EPB)を一体化した新製品も実用化されていますが、EPBドラムブレーキの新規製作には多額の金型費がかかることなどもあり、金型費が安価なディスクブレーキが採用されやすい環境にあります。

今後、EPBが標準採用されると、パーキング方式はドラムブレーキは衰退し、EPB付きディスクブレーキが主流となると予想されています。


電動パーキングブレーキのメリット

1)力は不要、スイッチひとつで操作可能

従来のスティック式やレバー式では、引っ張る力が弱いとブレーキが十分に効かずに、坂道では車が動き出してしまう恐れがありました。

また、足踏み式でも踏みこむ力によっては、ブレーキの効きが甘くなるので、同様といえるでしょう。

一方で電動パーキングブレーキはスイッチを操作するだけですので、力の弱い人でも安定したブレーキ性能が期待できます。

2)車種によっては自動的にパーキングブレーキがかかる

電動パーキングブレーキは、車種によってはATのシフトをPレンジに入れることで作動、シフトレバーをDレンジに入れることや、アクセルを踏むことで自動的に解除できるものもあります。

パーキングブレーキのかけ忘れや、解除を忘れる心配もないので大きなメリットといえます

3)坂道発進が楽になるオートブレーキホールド付き

全車種ではありませんが、オートブレーキホールドが付いた車種では、シフトレバーがPレンジ以外でも、アクセルを踏みこまなければ電動パーキングブレーキが作動しているので、ブレーキペダルから足を離しても車を停止させたままにすることができます。

そのため坂道発進も楽になりますので、坂道が苦手な方には大きなメリットといえます。

なお、オートブレーキホールドは、メーカーや車種によって作動方法などが違いますので、取扱説明書などで確認が必要です。

4)アダプティブ・クルーズコントロールにも利用できる

アクセルやブレーキを電子制御して前車との車間距離を適正に保つ、「アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)」が付いた車種では、電動パーキングブレーキを利用して減速→停止→再発進を可能にできるものもあります。

長距離ドライブなどでは、フットブレーキとアクセルの踏みかえ回数を減らせますので、ドライバーにとって疲労の軽減が期待できます。

5)車室内のレイアウトの自由度が増す

電動パーキングブレーキを採用することで、シフトレバー周りもスッキリさせることができることが可能です。

そのため室内は拡大して居住性がアップします。

サイドレバー式やフット式のパーキングブレーキは、そのぶんだけ車内が狭くなります。

しかし、電動パーキングブレーキなら、ハーネスさえ届けば、車室内のどこにでもレイアウトすることができ、さらに、小さなスイッチひとつで済むため車室内が広くなります。


電動パーキングブレーキのデメリット

1)操作方法はメーカーや車種によって違う

従来の方式では、メーカーや車種が違っていても操作方法に大きな違いはありませんでしたが、電動パーキングブレーキはメーカーや車種によって操作方法に大きな違いがあります。

操作スイッチも作動させるのにも、押すタイプと引くタイプがあり、ATのシフトをPに入れると自動的に作動するものや作動しないものなど、統一がされていないのでレンタカーを借りた時などは、戸惑うことも多いようです。

・トヨタとダイハツ:ギアをP(パーキング)にするとかかる

ホンダとマツダ:パワースイッチをオフにするとかかる

・日産:オートブレーキホールド中にギアをP(パーキング)にするとかかる

・スバル:自動でかかる機能なし

2)バッテリーが上がると使えなくなる

電動でパーキングブレーキを作動させるため、当然バッテリーが上がると使えなくなるのが欠点です。

正確には電動パーキングブレーキが解除できなくなります。

もっとも、12Vバッテリーが上がっている状態ではエンジンはかかりません。

電動パワーステアリングも機能しません起動しません。

クルマ自体が動かせないので、パーキングブレーキが解除できないことで困ることはないと考えられます。

EPBの多くはブレーキパッド(ブレーキシュー)を動かすアクチュエーター内蔵ブレーキを採用しています。

ディスク式であればブレーキキャリパーにEPBに関する配線がつながっているので、コネクター部分を切り離し、特定のネジを回すことでパーキングブレーキを機械的に解除できるような設計となっていることが多い。

レッカーでけん引する場合においては車両のタイヤをそのまま転がすのではなく、タイヤを台車に載せて引っ張ることのほうが多いです。

そのため、故障した場所でEPBが解除できなくとも問題なく整備工場まで運ぶことができます。

3)コストが高くついてしまう

従来のパーキングブレーキなどは簡素な構造でコストも低く抑えることが可能でしたが、電動パーキングブレーキは便利な半面、モーターや電子制御部品などの関係でコストが高くついてしまいます。

4)寒冷地で凍結するリスク

寒冷時に電動パーキングブレーキを効かせたまま長時間駐車すると、凍結によりパーキングブレーキが解除できないという現象が起きます。

この問題は、サイドブレーキやペダル式パーキングブレーキと同じく、電動パーキングブレーキにおいても起きる可能性があります。

寒冷時に駐車するときは、電動パーキングブレーキを解除し、シフトを「P」に入れた後に輪留めをしておくことで対策できます。

5)サイド(スピン)ターンができない

サイドターンができないなど競技用途には向きません。

サイド(スピン)ターンとは、走行中に前輪に荷重を移すと同時にステアリングを切り、旋回モーメントが立ち上がったところでサイドブレーキを引いてリアタイヤをブレークさせ、一気にクルマの向きを変える走行テクニックです。

電動パーキングブレーキでは、車速が0㎞/hの状態でなければ作動しないため、サイド(スピン)ターンができません。

最近は長押しすることで作動できる車種もありますが、この場合はワイヤーを手動で引くのとは異なり、かなり遅れて作動するので思うようにコントロールするのは難しいです。


スバルインプレッサ等に電動パーキングブレーキのリコール

2022年7月21日、スバルは「レヴォーグ」や「インプレッサ」などの電気装置(ハーネスコネクタ)において、電動パーキングブレーキ用のハーネスコネクタにおいて、樹脂材料の選定が不適切なため、融雪剤等の影響からコネクタが割れることがあるとして、国土交通省にリコールを届け出たことを発表しました。

市場からの情報によるものとし、現在の不具合件数は188件で、事故の発生はないと伝えられています。

リコールの対象となるのは2014年(平成26年)5月13日~2018年(平成30年)8月20日に生産されたモデル。製作期間は購入した時期と一致しないので、要注意です。


スバルは、所有する車種が該当する場合は速やかに点検・修理を受けるよう伝えています。これらの対応は2022年7月22日より随時行われるとのことです。

自身の所有する車が対象車両かどうかは、リコール等情報対象車両検索で確認できます。

自分の車がリコール対象だった場合、最寄りの取り扱い販売店へ来店日時を予約し、点検・修理を受ける必要があるとのこと。修理代などは無料で、費用などは発生しません。

レヴォーグなどの電動パーキングブレーキ用の電気装置(ハーネスコネクタ)において、樹脂材料の選定が不適切なため、融雪剤等の影響からコネクタが割れることがあるとのこと。

そのため、車両振動等によりハーネスコネクタが抜け、警告灯を点灯させ電動パーキングブレーキが作動しない、または解除できなくなるおそれがあるようです。

これをうけてスバルは、全車両、ハーネスコネクタを点検し、対象であれば抜け止めクリップを装着すると伝えています。

不具合発生箇所と改善方法

不具合発生箇所= 電気装置(ハーネスコネクタ)

改善方法= 全車両、ハーネスコネクタを点検し、対象であれば抜け止めクリップを装着する。

問題がある箇所と対応方法は以下の図で公表されています。

           基準不適合発生個所    



対象となる車両情報

リコール対象となるのは以下の期間に生産された車両です。

開始2014年(平成26年)5月13日~
終了2018年(平成30年)8月20日

リコール対象車が含まれる車台番号の範囲には、対象とならない車両も含まれているとのこと。詳細はお買い求めの販売会社までお問い合わせ下さい。


型式や車台番号、生産台数などは以下の表のとおりです。

型式車種対象車が含まれる車台番号対象車の台数
DBA-VM4レヴォーグVM4-002001〜
VM4-108469
83,053台
DBA-VMGVMG-002001〜VMG-02749819,916台
DBA-GK2インプレッサGK2-002001〜
GK2-004596
1,408台
DBA-GK3GK3-002001〜
GK3-004063
1,151台
DBA-GK6GK6-002001〜
GK6-006217
2,812台
DBA-GK7GK7-002001〜
GK7-008919
5,055台
DBA-GT2GT2-002003〜
GT2-030680
8,174台
DBA-GT3GT3-002001〜
GT3-031978
5,135台
DBA-GT6GT6-002001〜
GT6-030607
9,080台
DBA-GT7GT7-002001〜
GT7-056338
15,777台
DBA-GT3XVGT3-027002〜
GT3-042676
10,953台
DBA-GT7GT7-040001〜
GT7-077392
30,607台
DBA-VAGWRXVAG-002001〜
VAG-024975
15,417台
DBA-BN9レガシィBN9-002001〜
BN9-016218
9,438台
DBA-BS9BS9-002001〜
BS9-043904
29,407台

対象車種かどうかの確認方法

すでに型式や車台番号を把握している場合、スバルのリコール対応ウェブページより、対象かどうかを確認することができます。

リコール等情報対象車両検索(スバル公式HP)

型式と年式を確認する方法
軽自動車の車検証
車検証(画像は軽自動車のもの)

車の型式と年式を確認するには、車検証を用意する必要があります。

型式の確認は車検証の「型式」という項目がそのまま記載されているので分かりやすいです。

一方で年式は、「初度登録(検査)年月」という項目がそれに該当します。