コバの補修方法


スマホ手帳型カバーのコバが、大分ボロボロになっているので、何とか補修できないか調べてみました。


コバ

「コバ」とは、革を裁断した時の側面のことを言います。

革の裏側は「トコ」と言って、どちらも滑らかな表面と違い、革の繊維が毛羽立っています。

切りっぱなしで断面がむき出しのコバは見た目が悪く、耐久性も良くありません。

トコやコバを専用の液体で磨くことで、毛羽立ちの無い滑らかな面に仕上げることを「コバ(トコ)処理」と言います。

工房では「目止め」という言葉を使うことが多いです。

目止めをすることで革自体に張りが産まれ、強度も増します。

革製品は最初から目止めされていないものも多く、目止めされているものでも、長く使ううちに摩擦などで目止め液のコーティングが無くなり、毛羽立ってきてしまうことがあります。

一方鞣した(なめした)革の表皮にあたる部分のことを銀面といいます。 

その表面は動物の肌のキメの細やかさ、毛穴の大きさ、形状などによりさまざまな表情(銀面模様)を映し出します。 

これら銀面の中で傷などがなく、繊細できめ細やかな部分は当然良質な部分であり、それ自体が高価なものとなります。

コバ処理では、この銀面を損なわないよう注意を払って作業を進めることになります。


コバ磨き

コバ磨きは毛羽だっているコバの断面をなめらかに、良い手触りに仕上げる処理の仕方です。

また、貼り合わせた革の段差も揃うように整えます。

やり方は、やすりを使って断面を削っていく方法が一般的です。

コバ磨きだけで仕上げる場合、後からコーティング剤や塗料が塗られることはありません。

磨いていくと、どんどん深いツヤが出てきます。

磨く度合に基準はなく、様子を見てもう良いだろうと思えた時点で作業が終わりになります。


水磨き

この方法で対応可能な対象は、染料で染められていない革製品です。

浅い傷ならこれでも十分磨けます。

まずは細かい傷を落としていくためにペーパーでヤスリがけをします。

この段階で光沢がなくなり、全体がサラサラするくらいまで磨きます。

少量の水をティッシュに含ませて水拭きのようにコバ面になじませていきます。

この時、水が他の部分につかないようにご注意します。

水染みができてしまう原因となりますので、必ず磨く部分だけに正確に作業します。

コバ面に水分をなじませたら乾く前に乾拭きの要領で磨きをかけます。

この際は乾いたティッシュで、親指の腹を使って、少し圧力をかけながら磨くとより光沢が出ます。

ヤスリの番手を400〜1000番にあげながら3回くらい磨けば、細かい傷もなくなり綺麗になります。

磨きは、スリッカーを使うとさらに綺麗に仕上げることができます。



磨き剤でコバ磨き

「トコノール」や「トコプロ」を使用して磨きます。

あらかじめヤスリがけして均されたコバ面に、均等にコバ磨き剤を塗布していきます。

水磨き同様に、コバ面以外の部分についてしまうとシミの原因になります。

塗布した後、半乾きの状態で、乾いたティッシュで磨いていきます。

こちらも水磨きの時と同じ要領で、指の腹を使い少し圧力をかけて磨いていきます。


コバ塗り

コバ塗とは、コバ磨きをしたあと、透明な仕上げ液を塗って固める方法です。

仕上げ液は顔料や染料、またはニスなどです。

細い革の断面に薄ーく丁寧に、均一に液が付くように塗っていきます。

綺麗なコバ塗りが施されたコバは、ツヤがあって上品な仕上がりです。

手順

1.まずはコバ面に残った染料を綺麗に落とすくらい、ヤスリがけで断面を均一にしていきます。

番手は1000番でも大丈夫ですが、細かい傷が木になる場合は400番から丁寧に磨いていきます。

2.ヤスリがけが終わったらいよいよ染料を挿していきます。

他の部分につかないよう、慎重に、かつ手早くコバ面に染料を挿していきます。

一度にたくさん含ませると垂れ落ちてしまいますので、何度かに分けて丁寧に作業します。

3.染料をコバ面に塗布できたら、トコノールなどのコバ磨き剤を使用して磨いていきます。

コバ磨き剤は色止め防止にもなりますので、染料を使用した後にコバ磨き剤を使用することをお勧めします。

塗り終わったら半乾き状態で磨いていきます。

製品づくりの際は、この工程を何度か繰り返しつつ捻入れやミツロウを染み込ませながら堅牢に磨いていきます。


木工ボンド

目止め液として使用することが可能です。

ただし、トコノール等と比べると、仕上がりの艶は劣ります。

手順

1.小さい器に一円玉分くらいのボンドを出します。

2.出したボンドを水で薄めます。分量は1:1くらいです。

3.爪楊枝や竹串でボンドを水に溶かすように混ぜます。

4.先の細い爪楊枝や竹串などで、液をコバに満遍なく塗っていきます。

5.布のハギレで少し強めに、磨くように擦っていきます。

6.4と5の二つの工程を、一面ずつ2~3回繰り返し磨きます。


補色クリーム

補色クリームを使えば、コバの色落ちや樹脂剥はがれをカバーできます。


コバを補色したいときに、サフィール(SAPHIR)のレノベイティングカラー補修クリームが便利です。



サフィール(SAPHIR)社は、1920年に誕生したフランスのレザーケアアイテムブランドです。


レノベイティングカラー補修クリームは、皮革製品のこすれや削れのリペアが自宅で簡単にできるレザーケアアイテムです。

レノベイティングカラー補修クリームを使えば、簡単に補色でき、ダメージを目立ちにくくできます。

色が剥はげたり、傷がついてしまったときの補修にも活用可能です。

全40色以上のカラー展開で、様々な色の革に対応します。

絵の具のように色を混ぜ、新たな色を生み出すこともできる、使いやすい補色クリームです。

原料は、アクリル樹脂顔料となっています。

使用方法

1.ブラシやクリーナーで塗布する箇所の汚れを落とす

2.クリームを薄く膜を作るように塗る

3.乾かす

4.拭き上げる


染色剤

クラフト染料は水性で、薄めるときは水を使用しるため使い勝手が良いです。

こげ茶とコードバンはよく似ていますが、少し赤いのがコードバンです。

コバ も染めますが、 コバ の処理の仕方によっては暗い色を使用したほうが良い場合もあります。

濃い、暗い色だと接着剤の黒いラインが目立たなくなるからです。

そのためこげ茶、コードバン、黒のどれかは持っていた方が良いです。


コバからはみ出さないように染色剤を塗るのに綿棒を使います。

クラフト染料は配合することができます。

例えば、赤と黄色を混ぜたり、赤と黒を混ぜたりといろいろな色をつくることができます。

クラフト染料の一般的な使い方

1.革をやすりで整える

2.帆布やスリッカーでコバを整える

3.やすり掛けをする

4.帆布やスリッカーでコバを整える

5.クラフト染料を塗る

6.トコノールなどのコバ磨き剤を使用して磨く


クラフト染料がコバに浸透することでコーナー部分を保護する効果があります。

染色後帆布やスリッカーなどできれいにすることでコバが1本化になり保護効果がうまれます。

染色をする場合は少し濃く塗りすぎたかなと思うぐらいしっかりと染色します。

使っていると薄くなってくることがあるので、その際はメンテナンスをするようにします。

コバを染色する時には、銀面や床面にはみ出ないように注意します。