カーエアコンガスをDIYで補修する方法

エアコンガスの量(正確にはガス圧)を調べるためには、チャージホース・補充ガス(サービス缶)・保護手袋が必要です。

症状によっては、補充用ガス、カーエアコン用潤滑添加剤やカーエアコン用潤滑剤も準備します。

一般的に、カーエアコンのガス補充が必要になるのは、クルマの使用開始から約7~10年程度と言われています。

ただし、これはあくまで目安であり、クルマの使用状況や保管環境によって実際の補充時期は大きく異なります。

エアコンガスが完全に抜けている場合は、ガスを充填する前にパイプの中を真空にする必要があるので、真空ポンプを使って「真空抜き」と呼ばれる作業が必要になります。

古い車も空気が混入しているので、一度真空引きをするとエアコンの効きが良くなります。


エアコンガスの種類

エアコンガスの種類は、「HFC-1234yf」「HFC-134a」「R12」、の3種類ですので、いずれであるかをチェックします。

エンジンルームのどこかにエアコンガスの種類が書いてあるシールが貼られているはずです。まず、このシールを探します。

DIYによるエアコンガス補充ができるのは、「HFC-134a」か「R12」になります。

最新の車種は「HFC-1234yf」を採用しているケースが多く、この場合、DIYなどによる無資格者がガス補充することはできません。

専門業者に依頼する必要があり、またエアコンガスの部品代や工賃も高くなります。

高価な上に、直接的なユーザーメリットが乏しいものの、より環境負荷の低い「HFC-1234yf」の採用に移行しつつあります。


R-12

1990年頃までのカーエアコンにはR-12と呼ばれるフロンが使用されていました。

R-12は、主に旧車など古いタイプのエアコンに使われているガスで、現在は環境負荷の少ない代替品が流通しています。

流通の多いR-134aタイプとは、充てんバルブの形状が異なるため、対応するチャージホース・補充用ガスの流通量も多くはありません。


R-134a

1990年頃からの車には、HFC-134aというガスが使用されています。

最も一般的で流通量も多いのがR-134aで、チャージホース・補充用ガスも容易に入手できます。

R-12と比べ分子構造が細かいため、漏れやすいと云われています。

HFC-134aが燃えるのは170度以上ですので、普通に扱っている分には不燃性です。


HFO-1234yf

EVやHVなど最新の車の一部に使われている、環境負荷が極めて低い最新タイプのガスです。

2013年頃よりHFC-1234yfに切り替わり始めています。

補充用ガスやチャージホースも販売されていますが、「口径が合わない」など規格の確認が不十分なようです。

また、補充用ガスの価格も高いので、DIY充てんは推奨できません。


エアコンガスの量

カーエアコンを快適に使い続けるためには、エアコンガスを適量に維持することが大切になります。

少なすぎても多すぎても、コンプレッサーの寿命を縮める原因になるからです。

冷媒ガスが少なすぎる→液体になりづらい。

冷媒ガスが多すぎる→気体になりづらい。

冷媒ガスが少なくても多くても冷えが悪くなります。

カーエアコンを快適に長持ちさせるために、定期的なガス量確認と的確な対応をおすすめします。


エアコンガス量の確認とメンテナンスするための器具

エアコンガスの量(正確にはガス圧)を調べるためには、チャージホース・補充ガス(サービス缶)・保護手袋が必要です。

症状によっては、補充用ガス、カーエアコン用潤滑添加剤やカーエアコン用潤滑剤も準備します。


チャージホース+補充用ガス




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HFC-134aであればどれでも良いですが、大抵は1缶200gです。

異なるメーカーのものが混ざっていますが問題ありません。

チャージホースは、コネクタ部分が金属製のものをおすすめします。


接続金具は、缶側はパッキンがコーティングされたネジになっていて、そのままねじ込めば密閉されるようになっています。


チャージングホースのガス缶の接続口の中には針があります。

上の手回しバルブを回すと針が下に降りて缶側のパッキンに穴を開けてガスが出てきます。

車両側はクイックカプラになっています。


外側をスライドさせて、車両側に押し当ててからスライドを戻せば密閉されます。


保護手袋


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細かい作業もでき保護機能も高い、ショーワグローブ製「組立グリップ」はおすすめです。

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車載工具と一緒に車にも常備しておくと、何かの時に役に立ちます。



カーエアコン用潤滑添加剤

劣化したシステムの内部抵抗を低減し、各部を洗浄する効果が期待できるので、少し古い高年式車のエアコンには試す価値有りです。

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カーエアコン用潤滑剤(PAGオイル)

いわゆるコンプレッサーオイルのことですが、エアコンシステムが古くなると、エアコンガスの漏れとともに失われてしまいます。

エアコンガスを、何度か補充している場合は必須です。

オイルも経年劣化しますので、10年くらい経過した車は1本入れておくと良いです。

コンプレッサーの作動音がなめらかになります。

毎回注入するようなものではありません。


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エアコンガスをDIYで補充する方法

自動車の取説などでエアコンガスの種類を確認し、適合するチャージホースと補充用ガスを準備します。

必ずエンジンが停止していることを確認してから、作業を始めます。


エアコンガスは低圧側バルブから補充するので、その位置を確認します。

※低圧側配管は高圧側より太いパイプです。

※ほとんどの場合、低圧側バルブにはLと表示されたキャップがかぶされています。

「H」は高圧側、「L」は低圧側と呼ばれています。

それぞれコンプレッサーが圧縮した後と、圧縮する前に設けられた接続ポートです。


サービス缶(補充用ガス)接合部の針(ニードルバルブ)が出ていないことを確認します。


 針が出ている場合は、ツマミを矢印方向(上から見て左方向)へ回し切って完全に引っ込めます。

補充手順は以下の通りです。

1.サービス缶(補充用ガス)接合部のハンドルを左に回して針を引っ込める。

2.サービス缶をホース接合部に取り付ける

3.チャージホースを車の低圧ポート(キャップにLの表示がついている配管)に接続する

4.サービス缶を一瞬緩めてプシュッとチャージホース内の空気を抜く

5.車のエンジンを始動し、エアコンを最大風量、最低温度、内気循環に設定し、エアコンをON。

6.サービス缶の蓋に穴をあける(針を下げて、サービス缶に穴を空け、また上げる) → エアコンガスを注入開始

7. エアコンガスを入れ終わったらチャージホースを車の接続ポートlから抜く


以下は、エアコンガスの補充手順の詳細です。

最初に、サービス缶バルブに、ガス缶を時計回りにしっかりと最後までねじ込んでセットします。

ガス管のネジ部分にはパッキンとなる樹脂がコーティングされているので、そのままチャージホースにねじ込みます。


※サービス缶接合部の針が出ている状態でセットすると、エアコンガスが放出します。

必ず針が出ていない状態でセットします。


「低圧側バルブ」のキャップを外し、チャージホースのクイックジョイントを接続します。


※クイックジョイントのカバーを、上方にスライドさせた状態で低圧側バルブに押し当て、スライドしたカバーを戻せばカチッと接続されます。


これにより、車両の低圧側パイプと接続ポートが繋がります。

※接続されたクイックジョイントを軽くゆすってみて、確実に接続されていることを確認します。



この時点では車両側の方が圧力が高いですが、チャージングホース内の空気は逃げ場がないのでその場に留まります。

このまま作業進めるとエアコンの配管内に空気が混入し、故障の原因になるので、チャージホース内のエアを抜きます。

そのままガス缶に穴を開けると、ガス缶の圧力に押されて空気が車両側に入ってしまうので、ガス缶に穴を開ける前に空気を抜きます。

ガス缶を少しだけ緩めてやると、車両側の圧力で空気が押し出されて「プシュッ」と抜けます。一瞬で大丈夫です。

セットしたガス管を、ユックリと反時計回りに緩め、「シュッ」とガスの放出音がしたら直ぐに締め直して元に戻します。

これで、チャージングホース内がエアコンガスで満たされて準備OKです。

※「シュッ」は一瞬でOKです、長すぎるとガスが無駄に放出されます。

エンジンを始動し、➀設定温度を最低 ➁風量を最大 ➂内気循環 でカーエアコンを作動させます。

低圧側はコンプレッサーに吸い込まれるので圧力が下がり、ガスを注入しやすくなります。

この時点で、ゲージ(圧力計)の針がブルーゾーンに入って安定すればOK。

エアコンガスの量は、適量と判断できます。

圧力計の針は、エアコンの作動状況によって前後に振れます。

コンプレッサーが作動している間は下がり、停止すると上がります。

カチッという音と共にファンが回りだすタイミングが分かります。

これが「コンプレッサーが動き出したタイミング」です。

この時点の圧力=針が低い方に振れた時の状態を確認します。

コンプレッサーが作動すると「ブルーゾーンの中間付近」となるので、エアコンガスは適量と判断できます。

適正範囲内にある場合は、エアコンガスの補充はやってはいけません。

エンジンを停止し、チャージホースを取り外して終了です。


圧力がブルーゾーンより低い場合は、エアコンガスが不足しているので以下の手順に進みます。

ガス缶の接続金具のツマミを、右一杯に締め込みます。

※バルブ内の針が突出して缶に穴が明きます。

※この時点では針(ニードルバルブ)が缶の穴をふさいでいます。

締めこんだツマミを、ユックリと左方向に緩めるとニードルバルブが解放され、ガスの充てんが始まります。

※充てんが始まると缶が冷たくなるので、手で包んで暖めたり、軽く振ったりすると充填されやすくなります。

※充てん速度はユックリですので、気長に見守ります。

※缶を逆さまにすると、液状ガスが入ってしまうので良くないといわれています。

ガスが適量近くになると、充填スピードが落ちてきます。

そんな時は、エンジン回転を少し上げると有効です。

ガス缶からガスが流れ込み始めた時には、ガス缶内の圧力が高いため、圧力計が上がりますが、その後徐々に圧力が下がっていき、それ以上下がらなくなったところが、ガス缶内の圧力と車両側のパイプ内の圧力が同じになったということですので、そこで終了です。

ガス缶の重量も、まだ補充していない方のガス缶と持ち比べると軽くなっている事が分かります。

※缶が空になると圧力計の目盛はあがらなくなるので、一旦終了し、新しい充てんガスを用意して再開します。

1本目のガス缶を補充した時点で、圧力計が水色の範囲に入っていれば、とりあえず2本目のガス缶は補充しない方が無難です。その状態でしばらく様子を見ましょう。

2本目のガス缶もしくはオイル缶を注入する場合は、チャージングホースを車両側の接続ポートに繋いだままガス缶をチャージングホースから外してはいけません。

接続ポートは開放されているので、ガスがダダ漏れになってしまいます。

必ずガス缶をチャージホースに繋いだまま、チャージホースのクイックカプラを車両側の接続ポートから外します。

その後に、ガス缶をチャージホースから外して、最初からやり直します。

ガスが適量になれば、サービス缶バルブのツマミを右一杯に締め込み、圧力計の目盛を確認します。

そして、まずエンジンを停止し、その後チャージホースを取り外して終了します。

チャージホースは、クイックジョイントのスライドカバーを引き上げた状態で引き抜くようにして取り外します。

以上で、エアコンガスの充てんは終了です。


カーエアコンガスの充てん頻度

カーエアコンガスの充てん頻度はカーエアコンの使用状況によって異なりますが、良好なコンディションであれば2~3年に一度が推奨されます。


カーエアコンからの風が臭う

原因はカーエアコンのフィルターや内部機構(エバポレーターなど)に臭いの元があります。フィルターの交換と内部の除菌消臭で、劇的な改善が見込めます。

エアコンガスを充填しすぎた時の症状

エアコンガスを充填しすぎた時の症状は冷たい風が出なくなる、あるいは冷たい風が一瞬出ても直ぐにぬるい風になってしまいます。

これは、コンプレッサーの内圧が高過ぎて過熱状態になるからで、内部損傷しないようコンプレッサーが停止するためです。

通常エアコンには圧力のリミッターが設けられていて、異常に高い圧力が掛かった時には動作しないようになっています。

「ガスを入れ過ぎるとエアコンが効かなくなるけど、少し抜くと効くようになる」のは、このリミッターが作動する為です。