安楽死
毎朝の食事時に朝刊を読むのですが、私自身も70代になって最近同年配の死亡記事に目が引かれることが多くなりました。
著名人や金持ちでも癌や脳梗塞、心筋梗塞で助からない人は少なからずいます。
生死の分かれ目は意識の有無であると、小説で読んだことがあります。
それでは、意識を失い、ただ管を繋がれた植物人間状態の人の生を絶つことはできるのだろうかという疑問が沸きます。
日本では、安楽死は認められていませんが、家族にしてみれば、早く楽にさせてあげたいと思うのが心情ではないかと思います。
しかし、医師は生ある限り医療を続けるのが使命であるとも聞きます。
医師が家族の意向に沿って、延命処置を徐々に絶っていくことはあるのだろうか、それは可能なのか疑問です。
安楽死
wikipediaには下記のように記述されています。
「安楽死(あんらくし、: euthanasia)とは、人に苦痛を与えずに死に至らせることである。一般的に、終末期患者に対する医療上の処遇を意味して表現される。
安楽死に至る方法として、医師が患者に致死薬を投与する積極的安楽死と、治療を行わないことによって死に至る消極的安楽死の2種類がある。
または医師が処方した致死薬を患者が自身の意思で服用する医師による自殺幇助も広義の安楽死に含まれる。
また安楽死の別表現として、尊厳死という言葉がある。これは日本においては一般的に延命治療を行わないこと、つまり消極的安楽死を指すが、国によって判断がさまざまである。たとえばアメリカにおいて尊厳死は、医師による自殺幇助を指すことが多い。
積極的安楽死とは、致死性の薬物の投与により、死に至らせる行為である。医療上の積極的安楽死の場合は、耐えがたい苦しみに襲われている患者や、助かる見込みのない末期患者の自発的意思に基づき、医師が致死性の薬物を注射する。
日本では他人による積極的安楽死は法律で明確に容認されていないため、本人の意思による積極的安楽死に加担した(未遂も含む)場合さえも刑法上嘱託殺人罪等の対象となる。消極的安楽死とは、治療を開始しない、または開始しても後に中止することによって、患者の延命を止める行為である。
患者が最期のときまで自分らしく尊厳をもって生きるために、延命治療の苦しみを回避するという本人の自己決定を尊重し、「延命治療をやめて病状を自然の状態に戻す」ことを指す。
患者本人が事前意思表示なしに意思表示不可能な場合は、親族の明確な意思に基づく要求に応じて治療を停止する。
ヨーロッパ、北米、南米では、ほとんどの国で消極的安楽死が法制化されている。
日本では消極的安楽死(尊厳死)の法制化はされていない。
2007年に厚生労働省からガイドラインが発表され、医学系学会もガイドラインを作成している。
ガイドラインには法的効力はなく、それに従えば刑事責任や民事責任を必ず回避できるわけではないが、医師が刑事責任を問われることはほぼなくなった。
患者本人の明確な意思表示に基づく消極的安楽死(延命停止)は、刑法199条の殺人罪、刑法202条の殺人幇助罪・承諾殺人罪にはならず、本人の自由意思で決定・実施できる。
消極的安楽死は、医師が行う場合は下記の条件のいずれかを満たす場合に容認される(違法性を阻却され刑事責任の対象にならない)。
- 患者本人の明確な意思表示がある(意思表示能力を喪失する以前の自筆署名文書による事前意思表示も含む)。
- 患者本人が事前意思表示なしに意思表示不可能な場合は、患者の親・子・配偶者などの最も親等が近い家族(より親等が遠い家族や親戚は親等が近い家族に代わって代理権行使できない)の明確な意思表示がある。」
いかがだろうか。最後に消極的安楽死を実行できるのは医師ということになるので、条件が満たされた上で、最後は医師の考え方次第ということになるのでしょうか。
延命
日本では延命治療に関する明確な法律は少なく、医療現場の判断に委ねられる部分が多いです。ただし、患者の意思確認や家族の同意が重視されています。
1.心臓
外出中や家の中でも突然人が倒れたら、首か手首で脈があるかチェックし、胸や口の状態で呼吸があるか調べます。心臓が動いていないと判断したら救急車を呼び、心臓マッサージをしながら、その間に近くの人に自動体外式除細動器(AED)を持ってきてもらい、AEDをかけます。心臓マッサージは胸の真ん中に手のかかとの部分を重ねてのせ、肘を伸ばしたまま真上から強く(胸が約5センチ程度沈むまで)押します。押した後には瞬時にその力を緩めます。 これを1分間に100~120回の速さで繰り返し続けます。以前は救命の場合に口移しに呼吸を補助していましたが、最近ではしなくなりました。心臓マッサージの副作用として肋骨骨折がありますが、救命の際はAED到着まで、骨が折れても続けます。
病院でも急変や予想外の心肺停止時には救命のために心マッサージとAEDを実施します。ただし、がんの末期や病状の進行で回復の見込みがない場合、看取りの方針であるターミナルケアや緩和治療の場合では心臓が止まったときに心臓マッサージを行うのは延命治療となります。
2.血圧
3.腎臓
一般的な透析の方法は腕の血管に針をさして、ポンプを使って血液を取り出し、透析装置で体に貯まった老廃物や余分な水分を取り、電解質を正常な状態にして、身体に戻します。1日4時間、週3回が一般的な方法です。
腎機能の低下もしくは廃絶を無処置のままでは、尿毒症を起こす状態になった時、人工透析がなされる場合があります。この人工透析もいわば、延命治療の1つです。腎不全に陥った場合、尿毒症という症状になることを防ぐために、外科的に血液中の老廃物除去や電解質維持、水分量維持をします。
延命治療を望まないで人工透析をやめた場合の生存期間は数日から2週間程度と言われています。また慢性腎不全になって透析をしないという選択をした場合も数週間から数か月の生存期間と考えられます。身体に水が溜まり、心不全や肺水腫(肺に水が溜まる状態)となり、呼吸が苦しくなります。
4.口からの食事摂取
意識障害や病気・老衰が進むと飲み込み(嚥下)ができず、食事が摂れなくなります。また食欲や意欲がなく口から十分な量の食事ができなくなることもあります。その場合はいくつかの選択肢があります。
(1)本人が食べたいだけ食べるという方法です。食事が摂れなくても楽しみ程度にゼリーを食べるとか、好きなものを口に含むだけのこともあります。「食べられなくなったらそれで良い」と自然にまかせます。嚥下機能が落ちているときに食べると、むせて肺炎になる可能性が高いので注意が必要です。これを誤嚥性肺炎と言い、高齢者の肺炎で最も多く、死亡原因となります。少しずつ食べていても最後は全く食べられなくなります。食べられなくなると1-3週間で衰弱して亡くなります。
(2)経管栄養(流動食)
口から食事が摂れない場合に流動食をチューブから入れて、栄養を摂る方法があります。胃や腸を使うので、点滴よりも生理的で腸管の機能を保つことができます。チューブを入れる経路が2種類あります。
①:経鼻(けいび)チューブ鼻から管をいれます。先端が胃に入っていることを医療者が確認する必要があります。1-2週に1回交換します。
抜けやすいので、老健や特養等の介護施設では受けてもらえないことがあります。自分で抜かないように、手にミトン風の手袋をしたり、手を縛ったりする身体拘束をする場合があります。
②:胃ろう胃に穴をあけて、チューブをお腹から外に出します。胃ろうを造るためには内視鏡を使った手術が必要ですので、胃ろう造設のために1泊2日程度の入院が必要となります。経鼻チューブと違い、抜けにくく、管理しやすいのが特徴です。胃ろうには固定法が2種類あり、バルーン型では月に1回程度の交換、バンパー型では4-6か月に一度の交換が必要です。老健や特養等の介護施設では経鼻チューブは受けられないが、胃ろうなら受けられるというところが比較的多いです。
最近では「胃ろうを入れたら抜けなくなる」、「延命治療だから胃ろうはしたくない」と言う方が多くいます。でも治療のために胃ろうが効果的なことがあります。脳卒中等で嚥下障害が強い時に胃ろうを作成して栄養を取りながら、嚥下のリハビリテーションをすることがあります。口から食事が摂れるようになったら胃ろうを抜くという方法です。食べ物を飲み込む際に、経鼻チューブよりも胃ろうの方がずっと飲み込みやすいので、リハビリテーションにも有効です。(3) 経静脈栄養(点滴)
静脈ルートをとって、点滴で栄養を摂る方法です。
①中心静脈栄養首や股の静脈など、身体の中心部の太い静脈までチューブをいれ、ブドウ糖濃度が高くカロリーが高い点滴をします。濃い点滴なので、太い静脈でないといけません。十分な栄養が投与できるので、腸などの消化管機能が低下していても栄養を投与できます。チューブは半年に一回程度交換します。
静脈から、心臓に近いところまでカテーテルを送りますから、刺すときに技術が必要です。鎖骨下静脈から刺入する場合は気胸等の合併症が起こりやすいですし、長いこと人工的なチューブを入れておくと感染を起こして抜かなければならなくなることがあります。人工的な栄養ですので、微量元素と言って自然の食品には含まれているものが不足しがちになります。鉄、亜鉛、銅、クロム、モリブデン、マンガン、セレン、ヨウ素の8種類で、意識的に補うようにします。腸を使わないので、消化機能の低下、肝機能障害も注意が必要です。点滴の交換や清潔管理等在宅では管理が大変です。口の清潔が保てないので、口腔ケアも必要です。
②末梢点滴
腕などの細い血管から水分とカロリーを補給します。濃い点滴はできないので、投与するカロリーは十分ではありません。そのため徐々に低栄養になって、痩せてきます。
3か月から1年位で亡くなります。細い静脈は確保できないことも多く、その場合はお腹に直接針を刺して、点滴を入れる皮下注射と言う方法もありますが、入れられる水分量が少なく、長くは持ちません。
5.呼吸
①挿管口や鼻から管を入れて呼吸する道を確保します。挿管チューブは長く使用できないので、1-2週間で交換するか、それ以上続けなければならない場合は気管切開をします。挿管していると、声を出したり、食事をすることはできません。
②気管切開
挿管が長くなると、のどに穴を開けて、カニューレを挿入し、呼吸する道を作ります。
気管内吸引をすることもできます。カニューレは2週間程度で交換します。意識の良い場合は特殊なカニューレにすれば声をだしたり、口からものを食べたりすることができます。
③人工呼吸器
呼吸が弱くなると、酸素の取り込みが減り、酸素飽和度が下がります。コロナ禍の時に酸素飽和度を測定する機器であるパルスオキシメーターが普及しました。パルスオキシメーターでSpO2が93以下になると酸素投与が必要です。酸素投与しても酸素飽和度が上がらない場合や、呼吸停止した場合には挿管チューブ、もしくは気管切開カニューレに人工呼吸器を接続して、呼吸をサポートします。神経難病や脊髄損傷の患者さんのように胸の呼吸筋麻痺により呼吸ができない場合にも人工呼吸器を使用します。この場合は意識があり、コミュニケーションを取ることが可能な場合があります。呼吸器を外すと、呼吸ができず命にかかわると予想される場合は、原則として医師でも呼吸器を外すことはできません。
睡眠時無呼吸のように睡眠時等一時的に呼吸をサポートする場合があります。この場合非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)と言って、挿管チューブではなく、マスクで呼吸器を接続します。マスクですので、中断も自由にできますが、逆に簡単に外れてしまいますし、痰が多い人の気道の吸引はできません。確実に呼吸を補助する必要がある場合は挿管チューブや気管カニューレと繋ぐ人工呼吸器が必要ですが、これを侵襲的陽圧換気(IPPV)と言います。
wikipediaには下記のように記述されています。
「延命治療(えんめいちりょう)とは、回復の見込みの無い人に対する延命だけを目的とした医療行為である。延命処置ともいう。心肺蘇生などを意味する救命処置(救急措置)とは異なる。
医学用語としては「末期状態にある人の生存を一定期間だけ維持することができるが、その病気を治癒させることはできない医学的処置、投薬、医療技術など。」を意味する。生命予後不良で根治が見込めない患者に対し、人工呼吸や輸血、輸液などによって延命を図ることを目的とする。
日本では、延命治療拒否の意思を記した生前遺言書に法的根拠が無いことで医師は遺族からの訴訟を恐れ、「経口栄養摂取出来なくなった以降の予後不良患者」に対しても親族の意思優先で延命させられていることが問題になっている。逆に、欧米先進国は「食べられなくなったらそこまで」という考えから延命処置せず、緩和ケアへ移行している。延命治療に当たるものとしては以下のものが挙げられる。
脳死などの昏睡状態で何らかの処置をしなければ呼吸が停止する状態や、肺機能の低下により血液の酸素化が十分に行えない状態などで行われる。
人工栄養
経鼻胃管を挿入して栄養する場合と、中心静脈カテーテルを挿入して血液中に直接栄養する場合がある。昏睡状態や食道の狭窄が起きている場合に行われる。
人工透析
腎機能の低下もしくは腎不全によって無処置では尿毒症を起こす状態の人へ行われる。本人の意思での人工透析中止した後に死亡したことが問題視された際に、調査を行った日本透析医学会は、今回のケースは「中止希望した患者の意思」が尊重された事案だとした。そして、人工透析中止すると亡くなる状態のケースには、「患者の意思を繰り返し確認することが重要だ」とする声明を公表している。
欧米豪など他の先進国では、患者本人の延命に関する意思を事前に文書として残させておくことで、日本のように患者本人が意思疎通不可能状態となった後の親族による延命継続要求を無視し、医療機関は意思疎通出来た頃に残された患者本人の意思のみに従い、延命治療の中止することができる。この事前指示書はリビング・ウィル(living will)と呼ばれ、患者本人による尊厳死の意思表示となっている。
そして、欧米豪など先進国では、高齢者など終末期患者が経口栄養摂取出来なくなった時点で、緩和ケア移行が義務付けられている。そのため、日本のように予後不良の高齢者に対する経管栄養や点滴による非経口栄養を用いた「延命行為」は「虐待」と批判し、禁止している。
北米では、医療従事者へ終末期患者や高齢者に対する過大な医療や延命措置を講じるよう主張したりする問題親族を表すために使われる言葉として、「カリフォルニアから来た娘症候群」カリフォルニア州では「ニューヨークから来た娘症候群」カナダでは「オンタリオから来た娘症候群」と呼ばれる。
日本には、寝たきり老人が年金目当てで親族に延命させられる問題がある。彼らのように年金のために親族に延命強制させられている寝たきり高齢者は「寝たきり大黒柱」又は「年金ミイラ」と呼ばれる。
年金支給額から自己負担分の医療費を支払っても残る毎月の金銭目当てにした、親族による寝たきり親族にする際限ない延命治療要求ケースには、医療者らも「金目当て」ではないかと感じている。 年金目当ての親族による延命問題の解決策として、マイナンバーを活用した年金受給者の入院時は年金を一時停止、入院費やオムツ代など直接病院に支給する仕組みが提案されている。
緩和ケア
末期の患者に対して、親族は、少しでも苦痛を取り除き安らかに最後を迎えさせてあげたいと思うのが心情です。wikipediaには下記のように記述されています。
緩和医療(かんわいりょう、palliative medicine)または緩和ケア (palliative care) とは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族のQOL(Quality of life, 生活・人生の質)を改善するアプローチである。完全な治癒の望めない末期がん患者などに対して行われ、延命治療よりも身体的・精神的苦痛を取り除くことに重点をおいている。
一部で緩和ケアは終末期に限って行われるものという誤解があるが、疾患に伴う心と体の各種苦痛を和らげるために、診断された時期から、疾患の治療と並行して行われるものであり、「終末期の医療・ケア」とイコールではない。
「世界保健機関(WHO)は2002年に次のように定めた。
緩和ケアは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、 苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為である、としているのである。
緩和ケア
- 痛みやその他の苦痛な症状から解放する。
- 生命(人生)を尊重し、死ぬことをごく自然な過程であると認める。
- 死を早めたり、引き延ばしたりしない。
- 患者のためにケアの心理的、霊的側面を統合する。
- 死を迎えるまで患者が人生をできる限り積極的に生きてゆけるように支える
- 患者の家族が、患者が病気のさなかや死別後に、生活に適応できるように支える
- 患者と家族のニーズを満たすためにチームアプローチを適用し、必要とあらば死別後の家族らのカウンセリングも行う。
- QOL(人生の質、生活の質)を高めて、病気の過程に良い影響を与える。
- 病気の早い段階にも適用する。延命を目指すそのほかの治療(例えば化学療法、放射線療法など)を行っている段階でも、それに加えて行ってよいものである。臨床上の様々な困難をより深く理解し管理するために必要な調査を含んでいる。
- 告知時の精神的ケアや予後の説明のタイミングの見極め
- 治療方針の選択や治療の場の選択への情報の提供、患者の意思決定の支援
- 疼痛マネジメント(痛みの性質や程度を把握する)に始まる疼痛管理
- 保清ケアや褥瘡予防
- 胸水や腹水のコントロール
- 経口栄養摂取困難時の栄養管理
- 蘇生措置拒否(DNR : Do Not Resuscitate, 終末期医療に於いて心肺停止状態になった時蘇生措置を行わないこと )をするか否かの確認などの臨死期の措置
- 臨死期、死後の家族の悲嘆への配慮
があげられる。
このように、患者や家族が持つ苦痛を緩和することで、患者のQOLを最大限高めることを目指す。現在、ターミナルケアを行う施設をホスピスと言うが、ホスピスとは元来中世ヨーロッパで旅の巡礼者を宿泊させる修道院や小さな教会を指していた。
20世紀では、ターミナルケアとして主に末期がん患者などに対して行われる、主に治癒や延命ではなく痛みなど疼痛をはじめとした身体的、精神的な苦痛の除去を目的とした医療を意味する場合が多かった。しかし、近年の緩和医療の発達を受け、がん診断初期から積極的治療として並行して行うべきであるとされ、さらにはがん以外の疾患への拡大が行われるようになった。
近年は画像診断の発達とともに、診断や治療の妨げとなる疼痛を除去することを優先すべきとの考えも広まってきている。また、慢性痛の場合は診断的価値もなく、慢性痛自体が、患者の様々な障害となりうる。そのためペインコントロールが重要となる。
WHO式疼痛管理
- 昼夜にわたる除痛
- 原則的に経口投与、もしくはチューブレスで行うなるべく簡便な経路で投与するのが望ましい。経口投与が最もよいができない場合は、直腸内投与、または注射で行う。
- 時刻を決める 疼痛効果が切れる1時間前に次回分を投与し、決して頓用指示をしない。
- 段階を踏む 鎮痛薬の選択としては、まずは非オピオイド系鎮痛薬であるアスピリンやアセトアミノフェンを用いる。適切に増量しても十分な効果があげられない場合は、弱オピオイド系鎮痛薬、リン酸コデインを追加処方する。それでも効果不十分のときは強オピオイド系鎮痛薬、モルヒネに切り替える。それでも効果が上がらなければ薬以外の方法を考える。神経ブロックなどが考えられる。
- 個々にあわせる 疼痛に必要な適切量は患者によって異なるので、少量で投与開始し、効果に応じて漸次増量し痛みの消失に必要な量に到達するようにする。またモルヒネの使用は予測される生存期間ではなく、疼痛の強さで決める。
- 副作用対策は前もってたてる モルヒネの副作用として便秘がある。この便秘も終末期患者では痛みを起こす。こういったことは予測できるので、予め下剤などを使用する。効果の見通しと予想される副作用に関しては予め説明しておく。
癌性疼痛でよく用いる鎮痛薬
- 非オピオイド鎮痛薬 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID・NSAIDs)としてロキソプロフェン(ロキソニン)、ジクロフェナク(ボルタレン)、アセチルサリチル酸(アスピリン)やアセトアミノフェンを用いる。
- 弱オピオイド鎮痛薬 リン酸コデイン内服や、ブプレノルフィン(レペタン)座薬を用いる。
- 強オピオイド鎮痛薬 モルヒネ製剤としてMSコンチン、カディアン内服、アンペック坐剤、塩酸モルヒネ錠、オプソ内服液など オキシコドン製剤としてオキシコンチン錠、オキノーム散 フェンタニル製剤として、デュロテップパッチ(貼付薬)、フェンタネスト(注射剤)
- その他、補助療法として、抗てんかん薬(カルバマゼピン)、精神科の薬、副腎皮質ステロイド(ステロイド系抗炎症薬)なども用いる。
